美容とアンチエイジング
抗加齢医学とは

アンチエイジング(抗加齢)医学は、長寿を研究する学問であり、予防医学の実践でもあります。老化を制御可能な現象ととらえ、長寿研究を基にさまざまな分野の臨床医学や基礎医学が統合して健康長寿を目指します。老化には遺伝だけでなく、食事・運動・睡眠などの生活習慣や環境が大きく関わることがわかっています。ヒトの平均寿命は年々延びていますが、最高齢者は120歳程度で変化がありません。このため、120歳くらいが種としての寿命と考えられます。平均寿命が延び、健康寿命も延びていますが、両者の差はまだ大きく、その差をいかに縮めるかが、抗加齢医学のもう一つの課題です。
1.寿命
多くの生物種にある程度決まった寿命があります。例えば、猫13年、犬15年、カバ40年、シロナガスクジラ80年、ゾウガメ200年などです。生活習慣を整えることで、加齢に伴う病気のリスクを下げられることがわかっていますが、健康な人でも、最期は衰弱して一生を終えます。
さまざまなストレスや疾患から回復する力は、加齢とともに低下します。この低下をコントロールし健康寿命の延伸を目指すのが抗加齢医学です。また、抗加齢医学では種ごとに固有とされている最大寿命を延長することすら可能ではないかと期待されています。
2.老化を「予防・治療できる変化」としてとらえる
老化は自然現象ですが、生物として規定された遺伝に加えて、環境によって発現する遺伝子は各々異なり、寿命が変化します。この環境変化に伴う遺伝子を制御すれば老化をコントロールすることができると考えられます。すなわち、老化は制御可能であり、早期に進む老化は疾患の一つとして解釈できます。
老化関連疾患には老化に伴う共通の原因があります。古典的には酸化ストレス、糖化ストレス、慢性炎症です。これらの因子は糖尿病、がん、動脈硬化の発症とも共通する老化メカニズムです。すなわち老化は疾患として考えることができ、積極的に制御すべきと考えられます。さらに最近の研究では、ゲノムの不安定化、ミトコンドリアの機能不全、幹細胞の枯渇、タンパク質の機能不全、オートファジー(細胞内の自食作用)の不全などが、細胞や全身の老化に関与していることが明らかになっています。さらに、インスリン様成長因子やmTORに関わるシグナル経路は、がんや糖尿病などの加齢関連疾患に関与することが明らかになっています。
3.老化の制御
ミトコンドリアの移植治療や血漿交換療法や胸腺再生が老化を遅らせる可能性が示されています。さらに、メトホルミン、ラパマイシン、スタチンのような広く使用されている薬剤が健康寿命を延伸できる可能性が検討されています。このように、老化と疾患に共通する分子に介入することで、健康寿命の延伸が期待されています。ただし、これらは研究段階の内容で、老化の予防・治療として確立したものではありません。運動・栄養・心(脳・睡眠)・環境へ介入することで老化の進み方をゆるやかにし、健康長寿を目指します。
4.アンチエイジング医学の臨床
従来の人間ドックに加えて、血管、ホルモンレベル、感覚器の老化度、活性酸素と抗酸化能のバランスなど、加齢によって体に生じるさまざまな変化を調べます。老化の兆候や症状を検査で早期に発見し、早期治療や生活指導を行うことで、加齢に伴う老化の予防が可能になります。老化の兆候を見つけ、徹底的に対処することで、老化を遅らせることができます。健康長寿を全うするために、サプリメント指導を含めた食事指導、運動指導、ストレスケアを行うのがアンチエイジング医学です。
監修:福地クリニック院長 山本清人