診療案内
いびき・無呼吸
いびき・睡眠時無呼吸は心臓・血管病のリスクです。
いびきは眠っている間に舌がのどの奥に落ち込んで起こります。舌の落ち込みがひどいと空気の通り道が詰まって息が止まってしまいます。これを睡眠時無呼吸症候群と呼びます。もともとの気道が狭く、舌の力が不十分な人になりやすい病気です。
身体的な特徴として、肥満、脂肪が多く首が短いこと、下顎が小さいことなどが挙げられます。眠っている間に大きないびきをかいて周期的に呼吸が止まります。新幹線の運転士がこの病気で運転中に眠ってしまい、駅を二キロ通り過ぎて停車したというニュースがありました。昼間眠ってしまうことでこの病気は有名になりましたが、睡眠時間はとれているのに睡眠の質が悪すぎて実質的に睡眠不足になっています。
息が止まるので酸素不足の低酸素血症になるばかりでありません。息が吸えないのに大きく息を吸おうとするので胸腔内圧が一度に陰圧になって、全身の血液が一気に心臓に戻り、心臓に極端な負担がかかります。さらにこの血液は肺にも流れ、肺動脈から血管収縮物質が生じます。胸腔内圧は陰圧で、心臓へは外へ拡張する力が働くのに、心臓自身は収縮しようとするので心臓に大変負担がかかります。このため、この病気の人は高血圧や不整脈、心不全になりやすく、動脈硬化にもなりやすいと言えます。重症の人は心血管病の死亡リスクが4倍以上にもなります。
典型的には太っていて顎が小さい人がなりやすいですが、普通の体形の人でも加齢とともに、舌の筋肉の力が低下して発症します。高血圧や心不全、不整脈ばかりでなく、大動脈解離という大動脈が裂けてしまう病気の発症リスクが一・六倍にもなります。本来心身を休ませる睡眠中に体を痛めつけてしまい、突然死に結びつくこともある怖い病気ですが、ほとんど自分で気づくことはありません。誰かに眠っているときにいびきがひどい、息が止まっていると指摘されて初めて気づきます。倦怠感、眠気、夜間の頻尿など、年のせいだと思っていたことが、睡眠時無呼吸症候群の症状ということがあります。
診断
簡易検査は指先に酸素の濃度を測るセンサーと胸に胸郭の動きを測るセンサー、などを装着して眠っている間に調べます。精密検査では脳波を同時に記録する必要がありますが、入院せず、自宅でも行える機械が普及してきました。
治療
眠るときにマウスピースをつけて下顎を少し前にずらすように固定すると気道が拡がっていきの通り道が拡がります。顎が痛くなることがあるのが難点ですが、人によっては有効なことがあります。重症の場合、CPAP(持続的陽圧呼吸)が標準治療です。CPAPは気道を拡げる意味では大変有効です。