血管を若くしよう
メタボリックシンドロームと肥満
血管を若くしよう|生活習慣病と血管
メタボリックシンドロームと
肥満
お腹まわりの脂肪は、見た目だけの問題ではありません。内臓脂肪は高血圧・糖尿病・脂質異常症を呼び寄せ、血管の老化(動脈硬化)を一気に進めます。
院長より
メタボの本質は、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなることです。生活習慣を見直せば、血管の老化はコントロールできます。
メタボってなんだ?
「死の四重奏」からメタボへ
1989年、アメリカの医学者カプランは、上半身肥満(お腹の出た肥満)・高血圧・糖尿病・高中性脂肪血症の4つが重なると、狭心症や心筋梗塞などの動脈硬化の病気が起こりやすくなるとして、これを「死の四重奏」と名づけました。
4つの楽器が合わさって音楽を奏でるように、一つひとつは軽くても、重なることで動脈硬化の進行が加速します。男性に多いイメージがありますが、女性にもあてはまります。
現在はこの考え方が「メタボリックシンドローム」として整理され、そのおおもとの原因は内臓脂肪型の肥満と考えられています。
メタボリックシンドロームの基準
日本のメタボ健診(40〜74歳が対象)では、おへその高さの腹囲が男性85cm以上・女性90cm以上(内臓脂肪面積100cm²相当)を必須条件とし、次のうち2つ以上にあてはまるとメタボリックシンドロームと判定されます。
- 中性脂肪150mg/dL以上、またはHDL(善玉)コレステロール40mg/dL未満
- 収縮期(上)の血圧130mmHg以上、または拡張期(下)の血圧85mmHg以上
- 空腹時血糖110mg/dL以上
見た目に太っていなくても、少しお腹が出ているだけで該当する方は少なくありません。厚生労働省によると、40歳以上ではメタボが強く疑われる人と予備群をあわせると、男性の2人に1人、女性の5人に1人にのぼります。
メタボの本質
内臓脂肪が増えると、膵臓が懸命にインスリンを出しても血糖が下がりにくくなります(インスリン抵抗性)。高血糖と高インスリン状態が続くことが、最終的に動脈硬化につながります。
リンゴ型と洋ナシ型
肥満には、お腹の中(腸のまわり)に脂肪がたまる内臓脂肪型と、皮膚の下に脂肪がたまる皮下脂肪型があります。
ビール腹のようにお腹がぽっこり出るのがリンゴ型(内臓脂肪型)、下腹・おしり・太ももにつきやすいのが洋ナシ型(皮下脂肪型)です。動脈硬化に深く関係するのは、リンゴ型の内臓脂肪です。
食べすぎて余ったカロリーは、脂肪分だけでなく炭水化物やたんぱく質も、すべて脂肪として蓄えられます。つまり、肥満の原因は「使う量より多く食べること」です。
脂肪細胞は「ホルモン工場」
脂肪組織は、エネルギーをためる倉庫であるだけでなく、さまざまなホルモンを出す臓器でもあります。
ふつうの大きさの脂肪細胞は、血糖を下げて動脈硬化を抑えるアディポネクチンや、食欲を抑えるレプチンなどの善玉ホルモンを出しています。
ところが脂肪をため込みすぎて細胞が太ると、善玉ホルモンが減り、炎症を起こす物質、血圧を上げる物質、血栓をできやすくする物質といった悪玉ホルモンが増えてしまいます。
太りすぎた脂肪細胞は免疫細胞を呼び寄せて炎症を起こし、膵臓を傷めれば糖尿病が、血管を傷めれば動脈硬化が進みます。メタボが目の敵にされるのはこのためです。
肥満は万病のもと
肥満は高血圧・脂質異常症・糖尿病の原因になるだけでなく、乳がん・大腸がん・肝臓がんなどにもなりやすいことがわかっています。
脂肪が増えすぎると、肝臓・膵臓・筋肉など、本来は脂肪がたまらない場所にも脂肪がつきます(異所性脂肪)。肝臓にたまれば脂肪肝に、筋肉や膵臓にたまれば糖尿病になりやすくなります。見た目がそれほど太っていなくても起こるのが厄介なところです。
年齢とともに太りやすくなる理由
体重は家計簿に似ています。収入(食べる量)が支出(使う量)より多ければ黒字になり、蓄え(脂肪)が増えていきます。
年齢とともに、じっとしていても使うエネルギー(基礎代謝)は減っていきます。若いころと同じだけ食べていれば、自然と黒字が続いて太っていくのです。
ストレスや心配事が多い、不規則な生活、寝不足や寝すぎも肥満の原因になります。日本人の肥満(BMI25以上)は男性の約3割、女性の約2割で、40代に最も多くみられます。
腸からも対策
腸内細菌と食物繊維
太っている人の腸には、食べ物からエネルギーを効率よく吸収してしまう菌が多く、善玉菌が作る「短鎖脂肪酸」が少ないことが報告されています。短鎖脂肪酸はミネラルの吸収を助け、エネルギーの吸収を抑えてくれます。
食物繊維をたっぷりとると、腸内の善玉菌が増えます。イモ類や寒天に含まれる成分は、腸内細菌によって短鎖脂肪酸に作り変えられやすいこともわかってきました。
根菜類
ごぼう・れんこん・にんじんなど
豆類
大豆・納豆・豆腐など
きのこ類
しいたけ・えのき・まいたけなど
海藻類
わかめ・ひじき・寒天など
今日からできること
- 夕食に1日のカロリーを集中させず、ゆっくりよく噛んで食べる
- 野菜・海藻・きのこ・豆類を先に食べ、食物繊維を増やす
- 毎日の歩数を少しずつ増やし、週に何日か軽く汗ばむ運動をする
- 睡眠時間を確保し、ストレスをためこまない
- 腹囲と体重を定期的に測って記録する
急激なダイエットや極端な糖質制限は長続きせず、かえって体を傷めることがあります。無理のない範囲で、少しずつ「黒字」を減らしていきましょう。
当院で
福地クリニックでできること
血管外科と内科の両方の目で、生活習慣病と血管の状態をあわせて診ます。
- 腹囲・体重・血圧の測定と、血液検査(血糖・脂質・肝機能・尿酸など)
- 特定健診(メタボ健診)
- 食事・運動など生活習慣のアドバイス、管理栄養士による栄養指導
- 必要に応じた高血圧・糖尿病・脂質異常症のお薬による治療
- 首や足の動脈の超音波(エコー)検査による動脈硬化のチェック
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